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登山教室

登山教室 (第6回) 地図の読み方資料 

地図の読み方

○ 地図の縮尺と実際の距離

早見表

縮尺     地図の1cmの実際の距離   実際の1kmの地図上の距離
1/10,000   100m                10cm
1/25,000   250m                 4cm
1/50,000   500m                 2cm
1/100,000   1km                 1cm
1/200,000   2km                 5mm
1/500,000   5km                 2mm

ポイント1/25,000の地形図の場合
1cm(地図上)=25,000cm(実際)=250m
つまり、1kmは地図上では4cm

1/50,000の地形図の場合
1cm(地図上)=50,000cm(実際)=500m
つまり、1kmは地図上では2cm

○ 縮尺と等高線

早見表

縮尺   1/20万   1/5万   1/2.5万   1/1万
計曲線 500m毎   100m毎  50m毎    10m毎
主曲線 100m     20m    10m      2m
補助線                        1m
間曲線 50m      10m    5m       50m
助曲線 25m      5m    2.5m       25m

○ 山岳の地形用語
 ・山頂(ピーク):山の一番高いところ
 ・鞍部(コル):ピーク間の稜線上で標高が低くなった部分
 ・乗越(のっこし):峠とほぼ同じ意味で鞍部にあることが多い
 ・キレット(切戸):稜線がX字形に深く切れ落ちた場所を示す
 ・頭(あたま):小さな峰々のこと 「ニセピーク」とも
 ・肩(かた):頭ほどはっきりとしたピークでなく、稜線で肩のように突っ張った地形
 ・カール(圏谷):氷河地形のひとつで、過去に氷河によって削り取られた谷を示す
 ・モレーン:氷河によって削り運ばれた岩などが堆積した丘状や堤状の地形
 ・岩壁の頂部、基部:山に岩場がある場合、その上端を頂部、末端を基部と呼ぶ
 ・スラブ:つるつるした1枚岩の地形で滑りやすい

○ 地図を正しく置く(正置)    これが全ての基本
  ・コンパスの用途
    @ 現在地の確認 地図上の確認
    A 目標の方向確認
    B 目標物の確認(同定)

・磁北線を引く
 @ 国土地理院地形図で、右の説明欄中ほどに「磁針方位は西偏約6°20′といったように偏差
   値が示されている。20′は切り捨て、360−6=354を度数線に合わせる。
 A 地図の左右どちらかの縦の図郭線に度数リングのNとSを合わせる。
 B 地図面のコンパスの長辺(西=左に60傾いている)にそって、赤鉛筆で線をひく。
   これが「磁北線」。 北に向いている方が磁北。
 C 磁北線を教本引く。通常4cm幅の平行線にする。
   4cmは2万5000分の1の地形図なら1km、5万分の1なら2kmを意味し
   距離感もつかみやすくなる。

登山教室(第5回)「雪」装備関連

今年の雪山シーズンもそろそろ終わりに近くなってきていますが、今回のML登山教室は「雪」関連装備を取り上げます。雪関連装備としてスキー/スノーシュー/わかん/スコップ/ゾンデ/ビーコンについて話をしたいと思います。

まずは、雪崩対策グッズのゾンデ/ビーコン/スコップについてです。ゾンデ/ビーコンについては知らない人も多いでしょうからまず、説明。ゾンデはテントのポールと同じようなものでつなげて長さ数mの棒になるもので、雪崩で埋まった人を探す道具で、雪に突き刺してその当たりで人を探索します。ビーコンは電波発信器兼受信器で埋まった人が持っている場合は、その電波を受信して大体の位置を探す道具です。スコップはこの場合、掘り出す為の道具になります。スコップはともかく、ゾンデ/ビーコンは他に使い道がありませんし、ビーコンは3万円から4万円、ゾンデは1万円弱程度の値段で、個人で装備するにはかなり高価です。命の値段からすると安いと言えるかもしれませんが、その効果については、私としては疑問を持っています。

ビーコン等がいざというときに役に立つためには、メンバー全員がこれらの装備を持っている必要があり、且つ救助訓練等を受けていないと実際にはうまく使えない可能性があります。雪崩に遭遇した場合、全員が埋没してしまっては、やはり役に立ちません。雪崩に埋まってしまった場合、生存救出のタイムリミットは15分と言われています。この時間内で発見/掘り出し/救出するのは実際にはかなり困難かと思います。ビーコンを持っている人が埋まった場合は、その遺体発見には役に立つことはあるかもしれません。

また、雪崩が発生した場合は、2次、3次の雪崩発生の可能性も高く、生存者が現場で埋没者を捜索していてよいかという問題もあります。また春の雪崩の様にブロックが落ちてきた場合は、雪崩に遭った時点で死亡してしまう可能性が高いです。ビーコンが高価で普及していないことの影響もあるかもしれませんが、私の知る範囲では、ビーコンを持っていたために、雪崩埋没から救出されたという話は聞いていません。遺体発見に役立ったという話も聞いていません。雪崩への対応としては気象条件/積雪状況/地形の判断を確実に行い、雪崩発生確率が高い時/場所には行かない事が第一かと考えます。

2006年5月2日追記:昨日の針ノ木雪渓の雪崩事故でビーコン保有をしていた方のうち一人が軽傷で救出されたとのニュースがありました。県警の救助隊がビーコン探知で見つけたそうです。確率は少なくても役に立つ場合もあるようです。

値段が一桁安くなれば、山岳会としての共同装備購入も可能でしょうが、現状ではそれも困難です。また保有していたとしても、滅多に使わない装備なので電池チェックを忘れる可能性も高いかと思います。以上の様なことから、私としては、ビーコン、ゾンデは効果が少なく保有の意味は薄いと考えています。スコップは他にも十分役立ちますので、これは持っていてもいいでしょう。

次はスノーシューとわかんについてです。深雪の山を歩く場合、昔は木製のわかんしかなく、新雪では結構埋まって大変で、しばしば外れてしまったりして大変でした。5,6年前からスノーシューが出回り始めましたが、値段が3万円前後で効果のほども不確かだったため、誰も買おうとする人はいませんでした。上小山の会で最初にスノーシューを保有してた人は細谷さんでした。3年程前に松本さんがネットで1万円程度のスノーシューを見つけて購入。それを使わせてもらったら結構具合が良いので私も同じものを購入しました。鍋倉山へわかんの山崎さんと一緒に行った時は、歴然とした差が出ました。

スノーシューは沈まない、外れない、装着が簡単などわかんに比べて多くの優位性があります。最近では会のスノーシュー保有者は2桁にもなり、会の中でもポピュラーな雪山装備となっています。スノーシューも色々とありますが、ラチェット式バンドよりは最初に私他が購入した布バンドのバックル固定式が良いと思います。今年、別タイプのスノーシュー(エキスパートオブジャパン製、黒竜)を購入使用してみましたが、いまいちでした。スノーシュー全般として、急斜面の登降は難しく、特にクラストした雪面のトラバースは困難です。そんな場合は脱いでつぼ足で歩くのが正解です。格安のスポーツヤマトのスノーシューは一時品切れになってましたが、今シーズンまた、販売を再開しました。楽しい道具ですので、是非購入して雪遊びに行きましょう。

さて、次はスキーです。スキーと言ってもここではゲレンデ用は除外して、山で使うものを主体に話をします。スキーの下手な私がスキーの話をするのも何ですが、下手の横好きでいろんな道具を買ったり、見たりしていますので、何かのご参考になればと思います。

私がスキーを始めたのは山を始めたのと同じで社会人になってからで、ゲレンデスキーもできないうちにすぐ山スキーでした。当時の山スキーはワイヤービンディング方式で革登山靴そのままで履くタイプでした。従って靴の横ずれがおきやすく、スキーの上手い人でも滑るのは大変でした。またシールも現在のような接着タイプではなく、数カ所を紐で固定するタイプでシールの横ずれや外れがしばしば起き、エッジも効かせられないなど大変な道具でした。それに比べると最近のスキーは大変良くなっています。

山などで使うスキーは大きく分けて3種類になります。いわゆる山スキー、テレマークスキー、クロスカントリースキーの3種類です。山スキーの板は基本的にゲレンデスキーの板と同じでビンディングが違うだけです。最近はカービング板も使われています。ビンディングは踵の開放/固定ができるところがゲレンデとの大きな違いです。靴は普通の重登山靴でも履けるものもありますが、最近は専用の山スキー靴が使われる場合が多いです。この山スキー靴は靴底がビブラムになっているだけで、基本的にプラスチックのゲレンデの靴と同じです。

テレマークスキーは上小山の会では持っている人は少ないです。板はゲレンデ用に近いものからクロカンに近いもの、裏に滑り止めステップカットのあるもの、ないものと結構バラエティーに富んでいます。金具と靴はいくつかの種類がありますが、基本的にヒールフリーです。滑り方も独特でいわゆるテレマークターンが基本になります。こちらも靴は革からプラに変わってきているようです。登りにはシールを使用するのが普通です。

クロスカントリースキーは距離競技スキーの板と靴をベースにしたもので、競技用では板の裏に滑り止めステップカットはありませんが、一般の歩き用ではステップカットがあるものが主流です。板幅は細くメタルエッジはついていないものが主流です。靴は専用のビニールのソフトブーツでつま先のピンだけでスキー金具と固定します。踵はフリーのみで、シールもつきません。従って急斜面の登降には向きませんが、軽くてスノーハイキングには最適です。上小山の会では登り重視のステップカットをした、やや幅広の「まほろば」スペシャルが主流となっています。

この他にも山歩き用のいろんなショートスキーが出ています。私も今年、ロシのフリートレックという軽登山靴でも履けるショートスキーを買いました。また山口さんはスキーシューと呼ばれるシール固着タイプのショートスキーを購入してます。ロシのスキーは登りは快適に登りますが、下りはソフトブーツのため私の技術では大変です。山口さんのスキーシューは登りも急斜面は登れないようで、下りも緩斜面では滑らないようです。

少し長くなりましたが、今回のML登山教室第5回は以上です。

登山教室 第4回 「歩き」関連

登山においては「歩く」ことは基本です。今回は、この「歩く」ことに関連したテーマについて話をしたいと思います。

登山で歩くのに重要なことは、まず体力ですが、登山では足腰の力と心肺機能がポイントになります。登山をスポーツとしてとらえるかどうかについては、異論もありますが、何れにしても他のスポーツと同様に普段のトレーニングが必要です。しかし、トレーニングを一番していないのは所謂登山者ではないかと感じています。岩登り等の登攀を目指す人でも大したトレーニングなしに本番の岩場などに行っている人も見かけます。

とは言うものの、普段から継続的にトレーニングをするのは難しい面があります。登攀や山スキー以外の登山であれば、月に2度程度以上、山に実際に行くことが一番のトレーニングになると思います。可能であればトレーニングジムやスイミングに定期的に行くことが、健康管理の面でも推奨されます。基礎体力がない人は特に事前のトレーニングが必要です。で、ないと山で大変な思いをすることになります。

次のポイントは靴です。登山靴もその用途に合わせ色々のものが売られています。ここでは軽登山の場合を想定して話をします。岩登りや沢登り、山スキーなどの靴には適用されません。それぞれの用途での選定が必要になります。登山の場合、他のスポーツの靴と違って、防水性、保温性、透湿性、及び足の保護性が求められます。昔はこれらの条件を満たす靴は良質の本革を使用した所謂、重登山靴でこれに防水保革のためのワックスをきちんと塗る必要がありました。最近はゴアテックスという良い素材を使ったソフトブーツが出来ており、これでも上記条件を満たせる様になりました。

選定の条件としては、信頼のおけるメーカのゴアテックスブーツで足首まであるもの、そして、本人の足型に合っていることです。あと、靴のサイズ選定ですが、人の好みや足の丈夫さによっても違ってきますが、厚手のパイル編毛混靴下を2枚履いた状態でまだ少し余裕(指一本位)のある大きさがお勧めです。この場合、夏でも厚い靴下を2枚履くことになりますが、足が暑いと感じることはありませんし、衝撃吸収のためのクッションとしても有効です。そして足首をしっかり締めて爪先立ちした時に足指が靴先内側にぶつからないもの、大きさが適当です。

次に歩き方と休憩の取り方ですが、登山は他のスポーツよりかなり長丁場ですので、適度なスピードと休憩が必要です。息があまり切れない程度スピードでゆっくり歩き、最初は30分位で小休止して衣類等の調整をします。その後は1時間に10分程度の休みで歩き、休憩の都度、水分やエネルギー補給をしていきます。

また、下りは一歩一歩確実に足を置いていき、浮き石や足場を確認しながら着実に歩く必要があります。初心者は、よく、この下りで膝が笑う状態になりますので、事前に膝周りの筋力を付けておきましょう。ストックを使うのも膝の保護とアシストには非常に有効です。ストックを使う場合は、ストックも確実に置いていかないと、ストックが滑ったりした場合、転倒の元になりますので注意が必要です。今回は以上です。

登山教室 第3回 ご飯の炊き方

今回は少し話題を変えて山でのご飯の炊き方について話をします。テント泊まりの山行をしないと、ご飯を炊くという経験はあまり出来ないと思いますが、そんなときにおいしいご飯などを炊くためのヒントにしていただければと思います。

下界では大部前から電気やガスの炊飯器が普及しており、鍋でご飯を炊く人、機会はかなり少ないと思います。小学生のキャンプの飯盒炊さんのときくらいでしょうか。所で「炊さん」は要するに「炊飯」という意味ですが、「さん」の漢字は「爨」で完璧に読めない漢字です。

山では水が貴重なため、基本的に米をとぐ事は出来ませんし、とがなくても、別にまずくもなく、毒にもなりません。最近売られている無洗米を持っていっても良いですがそこまでは必要ないでしょう。ここで注意しなければいけないことは研いだ米を持っていってはいけないと言う事です。米を研いだ場合米が完全には乾燥してないため夏場などでは悪くなることもありますし、水加減の調整も難しくなります。

山のキャンプ地は標高が高いため水の沸点が下がりますので、下界での水加減や火加減で炊くと芯が残り所謂「めっこめし」になってしまいます。まず水加減ですが、米と水は必ず計量カップで量ってコッヘル(鍋)に入れて下さい。米もお母さんなどに頼んで持ってくると3合とお願いしても母心で4合入っている場合もありますので、3合のつもりで水を入れて炊くとめっこ飯になってしまいますので米も必ず計量する事が肝要です。山で炊飯する際の水の量は、標高によっても多少変わりますが、大体米の量の1.4から1.5倍になります。米4合を炊く場合は水は6合になります。水の量はあまり厳密にしなくてもたいていはうまく炊けます。水を入れたら30分位置いておく方が良いですが、すぐ炊いても大きな問題はありません。

米の火加減は「はじめとろとろ中ぱっぱ」とか言われてますが、山で炊飯する場合は最初から最後まで弱火でOKです。一番の注意点は沸騰し始めたら、更に火を弱くして絶対にふきこぼさない様にすることです。そして水が切れたら試食してみて下さい。芯が無ければOK、あってもわずかであれば蒸しで芯は無くなります。炊き終わったら火を消して新聞紙1日分で上からコッヘルを包みます。飯盒炊さんで言われているような逆さにする必要は全くありません。上から包んで普通に置けば新聞紙も固定されます。これを衣類等で包んで30分以上置くと出来上がりです。この通りに炊けば誰でもおいしいご飯がいただけます。

最後に、不幸にして芯が多く残ってしまった場合の対応を書いておきます。芯飯になってしまった場合、あわてて水を追加する人が多いと思いますが、これは絶対に不可です。これをするとたいてい芯入りのお粥になってしまいます。この場合は一旦鍋を下ろし、別の鍋で1合程度の水を沸騰させてからご飯の鍋にお湯を追加して、再度弱火で炊いて下さい。これでたいていはうまくいきます。最初からうまくいった場合よりは味は落ちますが、食べれるご飯にはなります。水を入れて温度を下げてしまうとダメだということです。と、いうことでみなさんも山での炊飯を実践してみて下さい。

登山教室 第2回 携行装備全般

山登りに行くにはその山に合わせた登山装備を持っていく必要があります。今回は山の初心者の方を対象に装備全般を説明していきます。ベテランの方も読んで見ての意見やコメントをお願いします。

何を持っていくかは計画書の装備欄に大体リストアップされています。このリストで忘れ物がないようにチェックするのが大切ですが、人は割と忘れっぽいもので、登山口に着いたら、重要装備を忘れていたということもあります。昔、登山靴を忘れてサンダルで登った強者もいましたが、こんな場合はあきらめて引き返すのが基本です。基本的な忘れ物をしないために、ちょっと言い方はきたないですが、「食う、寝る、出す、歩く」のに必要な装備はきちんと持ったかを出発前に思い浮かべて下さい。「食う」では食料はもちろんですがガスコンロやコッヘル(鍋)、食器、箸、水筒などが必要です。箸などは枝でも代用はききますが。「寝る」では日帰りの場合や小屋泊まりの場合、余り気にする必要はありませんが、テント山行の場合は注意が必要です。テント、マット、寝袋等が必要です。「出す」では一番はトレぺやティッシュのことで忘れた場合はそれなりに困ります。「歩く」ではその季節や山に応じて登山靴、靴下、スパッツ、アイゼン、等が必要です。

山の初心者の場合、装備リストにあってもその装備が何のために、どんな時に必要でどのように使うのかわからない事が多いかと思いますので、まずは、それに一番該当する非常用装備の説明から始めます。思いつくままにあげていますので、順不同となっています。

「ヘッドランプ」

これは泊まりの時にのみ必要だと思っている人も多く見受けられますが、日帰りの時こそ必要で、いつも必携の装備です。日帰りで行った場合でも、怪我や疲労で行程が遅れ暗くなってしまう場合があり、そのときにヘッドランプがないと行動ができなくなってしまいます。最近は50g程度の軽くて小さいものも出てきてますので、ない方は是非、すぐに揃えて下さい。予備電池や予備電球も必ず必要です。最近のLEDのものは基本的に切れるものではないので、予備電球は要りませんが、故障の場合を考えると予備ヘッドランプも必要となりますが、そこまでは必要ないかと思います。資金余裕があれば、LED球3個とミニ電球1個が付いているタイプがお勧めです。

「雨具」
これも必携装備です。泊まりの山行はもちろん、天気の良い里山日帰りでも必要です。山の天気は変わりやすくいつ雨が降ってこないとも限りません。雨で濡れて風に当たると体が冷え夏でもアルプスレベルだと低体温症で疲労凍死に至る可能性もあります。雨具には傘から始まってポンチョタイプ、セパレートタイプとあり材質も色々とあります。最近はゴアテックス素材の上下セパレートタイプが主流ですか少し値段が張ります。安いビニール合羽でも無いよりはましですが、蒸れる、破れるであまりお勧めはできません。小学校の遠足レベルではよく使われていますが。ゴアのものは冬の防風ジャケットとしても使えます。私の場合は、夏期の雨の時よりは冬の方が使用頻度が高いです。傘も風が弱い場合は一番蒸れない雨具で、携行を勧めています。非常時にツェルトの中で傘をさしてすごすことも可能です。

「ウェア」
これは特に非常装備として位置づけられるものではありませんが、夏でもセータやフリースの携行は非常装備として必要です。この他にウェアで非常装備として必要なものは、予備の靴下、手袋があります。山で使用するウェアの場合の一番の基本は「綿素材は不可」という事です。これは上着、下着、中間着全ての基本です。綿は濡れると乾きが非常に遅く、肌着の場合は体をすぐに冷やしてしまいます。すぐ着替えができる下界のスポーツでは綿でも構わないのですが、山とスキーでは綿は絶対不可です。映画にもなっている「八甲田山死の彷徨」では綿の下着の人は殆ど凍死しています。最近の様に良い化繊素材が無かった時代には着古しの純毛セータを下着にしたものです。今でもこの愛好者は少なからずいます。但し、純毛は人によっては肌の痒みを起こしたりするので使えない人もいます。また、濡れても綿ほど冷たさは感じませんが、乾きは綿並に遅いです。従って最近のお勧めは化繊素材で最近は色々良い素材のものが出回っていますが、やはり値が張ります。ここで、ひとつ注意点ですが、最近、登山/釣具の併売店等でフリースの下着を安く売ってますが、これは吸湿性が全くなく汗をかくと気持ち悪い冷たいの一語です。購入は控えられた方が良いかと思います。私はその被害者の一人です。下界で運動等をしないときに着る分には暖かいですが。

登山教室 第1回 アイゼン

 最近の上小山の会では本格的な冬山や登攀は行っていないので、アイゼンを持っている人は少なくなってきていますが、10月から6月くらいまでの9ヵ月間はアイゼンが必要と判断される山行が多くあります。低山であっても気象条件によってはアイゼンが欲しい場合があります。3年前の12月に行った美ヶ原では途中の道が氷の道となっており、下りはアイゼンがない人は大変でした。2年前の12月の独鈷山でも数センチの雪でしたがアイゼンがないため途中撤退しました。21年前の高見沢君の遭難も前日に降った雪が融けてまた凍り、ホールドやスタンス(手や足を置ける場所)に氷が張っている状態でアイゼンは持っていってましたが装着していませんでした。

 アイゼンにはいろんな種類があります。爪の数で4本、6本、8本、10本、12本等があります。4本のものは軽アイゼン言われ夏の傾斜のきつくない雪渓で使える程度で、この程度の場所はアイゼンがなくても歩ける場所であり、雪の無い場所や岩混じりの道では非常に歩きづらく、却って危険でもあります。最低でも6本爪のものが欲しいです。最近の人は革製やプラ製のハードブーツを履く人は少なくなっていますのでゴア製のソフトブーツに装着出来るタイプが必要です。6本爪のものは問題なく着けられます。

 8本爪以上のものが、スタンスの安定性から、推奨されますが、ハードブーツ装着用のものは前歯と後歯の中間ジョイントが固く、ソフトブーツに装着すると中間ジョイントが折れる可能性が高くなります。私は昨年12月しらびそ小屋からの帰りソフトブーツに30年使っていた鍛造タイプの10本歯アイゼンを着けて下りましたが、この時中間ジョイントが折れてしまいました。従ってソフトブーツ用のアイゼンは中間ジョイントが柔らかいしなるものでないとダメです。また、ソフトブーツではバンドをあまりきつく締められませんので普通に締めても脱落の起きないものが必要です。

 以上の条件を満たすアイゼンは私の知る範囲ではエキスパートオブジャパン製の8本爪アイゼンしかありません。これは装着も簡単で普通に締めてしっかり装着されます。安い材料の方で1万3千円位だと思います。ハードブーツを常用されている方は他のタイプでも良いかと思います。アイゼンを購入される場合は必ず靴を持参して店に行って下さい。靴との相性がありますので、必ず合わせが必要です。

 アイゼンは滑落を防ぎ体を怪我から守る道具で、一定の時期と山では必須のアイテムです。肝心な時にアイゼンが無かった、持っていかなかったことで命を落とさないとも限りません。少し高い道具で使用頻度も低い道具ですが、無い方は是非そろえて下さい。夏山の雪のない所のみに行くという方は要りませんが年3ヵ月しか山に行けませんし、太郎山でもアイゼンが欲しい時があります。あと、アイゼンをつけている場合引っ掛けて転倒する場合が多くありますので、購入したら誰かの指導のもとに歩行練習はしておく必要はあります。

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